こんにちは、院長の久野裕規です。
最近は一日なかでの寒暖差があり、体調を崩しやすい時期です。
体が冷えないようにして睡眠をとる事をお勧めします。
今回は「のどの痛み」についてお話させて頂きます。
どのような場合に注意を要し、受診すべきかを説明させて頂きます。

かぜ(ウイルスによる鼻やのどの炎症)におけるのどの痛みに鼻水・咳・倦怠感などが伴い、
通常数日で治っていきます。のどの痛みはそれほど強くなく、通常食事をとることが可能です。
しかし、以下に示す①扁桃炎、②扁桃周囲炎、③急性喉頭蓋炎 
になると食事が困難になる事があり、注意が必要です。

①扁桃炎(いわゆる「扁桃腺」の炎症です)
扁桃とは、のどに存在し、ウイルスや細菌などに対して免疫機能を果たします。
扁桃はいくつかの部位に存在しますが、一般的には口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)の
両わきにある楕円~円形の突起物である「口蓋扁桃」を指します。
扁桃炎では扁桃が赤く腫れて・膿が付いて、飲み込みにくくなります。
原因となる細菌として、溶血性連鎖球菌(以下「溶連菌」)が代表的です。
溶連菌は2~3日程度で伝染するため、1日程度の自宅安静が必要です。
抗生物質がよく効きますが、再発する事がしばしばありますので、
しっかり薬を服用する事が重要です。
周囲で溶連菌の流行、家族に高熱(38度以上)・強いのどの痛みの方がいる場合は疑わしいです。
また、扁桃炎を反復している場合、慢性的に細菌が存在しており、
発症時に抗生物質が必要な事が多いです。
その他はウイルスによるものが多く、かぜに準じた対応となります。

②扁桃周囲炎
炎症が扁桃を越えて、周囲に及んだ状態です。
口が開けにくい、のどやくびが腫れて痛い場合に強く疑われます。
この状態になると自然治癒は難しく、抗生物質による治療をしないと更に悪化する可能性があります。
悪化すると扁桃の周囲に膿がたまり(扁桃周囲膿瘍と言います)、
腫れや痛みにより食事困難となります。
通常、腫れた扁桃の周囲を切開して膿を出さないと改善しません。

③急性喉頭蓋炎
喉頭蓋とは、舌の付け根の更に下にある弁のようなもので、
食事が気管に入らないようにする役目を果たしております。
その部位が感染を起こして腫れると、のどの奥が詰まって食事がとりにくくなります。
数時間単位で腫れが急激に悪化し、呼吸困難を来たる可能性がある危険な疾患です。
内科などの他の診療科で口の中を見てもらったが特に異常を指摘されないにも関わらず、
食事が困難な場合、この疾患の可能性が高いので、耳鼻科を受診する必要があります。